論文:Antroquinonol® によるPI3K/mTORタンパク質 及びmiRNA発現プロファイルの変化を介した非小細胞肺癌癌細胞増殖の抑制

(Mutation Research 707 (2011)42–52)
Kumar VB, Yuan TC, Liou JW, Yang CJ, Sung PJ, Weng CF. Source Department of Life Science, National Dong Hwa University, Hualien, Taiwan.

要旨
Antroquinonol® ベニクスノキタケの誘導体が、異なる癌細胞に対する細胞毒性作用を有することは、研究によって既に証明されている。しかしながら、  Antroquinonol® の細胞シグナルの伝達及び生存経路による非小細胞肺癌(NSCLC)癌細胞に対する影響はまだ完全に解明されていない。ここで私たちは、  Antroquinonol® での治療によって、NSCLC細胞の増殖が顕著に低下したことを発見した。 Antroquinonol® は、A549細胞の収縮、細胞内空胞及び細胞間隙の 形成を増加させることができ、かつ、TUNEL陽性細胞とsub-G1期細胞数の時間依存性及び用量依存性のある増加を示唆している。  Antroquinonol® 処理は、sub-G1期細胞の蓄積を増加させるだけでなく、Cdc2、Cdc25C、PDCD2及びpcdc25cタンパク質の発現水準を低下させ、サイクリンB1を変化させない。  Antroquinonol® によるアポトーシスの誘導、細胞のミトコンドリア膜電位の破壊、caspase3及びPARPの開裂の作動は、A549において関連がある。また 、Antroquinonol®  処理下のBcl-2タンパク質の発現は、PI3K及びmTORタンパク質の水準を抑制し、アポトーシス促進性タンパク質及び抗アポトーシスタンパク質を変化させない。 マイクロアレイ解析の結果から、未処理の対照群と比較した場合、A549細胞において、 Antroquinonol® がmiRNAsの発現水準を変化させることが判明した。またデータとともに、肺癌A549細胞の増殖が、 Antroquinonol® から明らかに影響を受けることが分かった。これらは、 Antroquinonol® の抗癌作用機序を理解するうえで有用な情報やアドバイスを提供しており、 Antroquinonol® は非常に有望な肺癌治療薬となる可能性があると考える。